築古戸建のシロアリ対策は、購入前に兆候を見る、被害時の判断基準を決める、購入後に予防と点検を続けるの3段階で考えると整理しやすくなります。築古戸建の買取・販売・リフォームを行う当社が、投資家向けに内見の見方から契約条件の確認まで解説します。
結論:シロアリ被害は内見だけでは見抜けないことがあるため、購入前に専門業者の床下点検を受けられるよう売主と調整します。被害が見つかったら、補修費を価格・利回りに織り込めるかで判断します。
購入後は点検と湿気対策の費用を運営コストに入れ、売主の責任(契約不適合責任)の範囲は契約前に書面で確かめておくと備えになります。
法令・制度は2026年10月時点の情報です。シロアリの駆除・予防の費用は業者・工法・建物の状態で大きく変わるため、金額は見積もりで確認してください。
築古戸建でシロアリ対策が投資の収支を左右する理由
シロアリ被害が起きやすい築古木造の条件
シロアリは、湿った木材を好んで食べる虫です。木造の戸建では、地面に近い土台(基礎の上に置かれ柱を支える横木)や床下の木材、浴室・台所・洗面所などの水回りの周りが被害を受けやすいとされます。
建築基準法施行令第49条第2項では、柱・筋かい(柱と柱の間に斜めに入れて建物を補強する材)・土台のうち、地面から1m以内の部分に防腐措置を講じることとされています。あわせて、必要に応じてしろありなどの虫による害を防ぐ措置を講じることとされています(2026年10月時点)。
出典:e-Gov法令検索「建築基準法施行令」第49条(2026年10月時点)
ただし築古戸建は、建てられた時期や工事の内容で処理の有無や効き目が異なります。今の状態は床下を見て確かめる必要があります。
北河内の築古戸建で気をつけたい点
当社は寝屋川市・枚方市・門真市・守口市など北河内で築古戸建を取り扱っており、その中には長屋(テラスハウス:隣の住戸と壁を共有して連なる住宅)や古い木造住宅もあります。こうした物件では、水回りの増築部分や床下の換気を優先して見ておくと、湿気の状態をつかみやすくなります。
長屋は隣の住戸と床下や土台がつながっていることがあり、自分の住戸だけで対策が済むとは限りません。
被害が収支に与える影響
シロアリ被害が購入後に分かると、駆除費に加えて土台や柱の補修費がかかり、リフォームの予算を超えてしまう場合があります。工事が長引けば入居者の募集も遅れ、その間は家賃が入らず、利回りを下げる要因になります。
購入前にシロアリ被害を見るポイント(内見チェック)
内見では、外から室内、床下へと順に見ていき、気になる点があれば専門業者の点検につなげます。

外から見る場所
- 基礎のひび割れや、基礎の表面を這う蟻道(ぎどう:シロアリが土などで作るトンネル状の通り道)
- 外壁の下の方や土台まわりの木部の傷み・しみ
- 建物の周りに置かれたままの木材・段ボール・植木鉢
- 雨樋の外れや、水が建物の足元にたまりやすい箇所
室内で見る場所
- 畳や床を歩いたときの沈み・ふわふわした感触
- 柱や敷居(引き戸の下の溝のある横木)を軽くたたいたときの、中が空洞のような音
- 壁際や窓枠の下にたまった砂や土のようなもの
- 窓辺や照明の下に落ちている羽アリの死骸
- 浴室・洗面所・台所の床のしみ、カビのにおい
床下点検口や畳の下を見せてもらう
台所の床下収納や押し入れの床に点検口があれば、のぞいて土台や束(つか:床を支える短い柱)の状態を見ます。懐中電灯で照らすと、蟻道や木材の傷みが見つかる場合があります。
畳を上げたり点検口を開けたりするときは、事前に売主や仲介会社の了解を取りましょう。
内見だけでは見抜けない限界
シロアリの被害は、壁の中や床下の奥など目に見えない場所で進むことがあります。表面のリフォームがきれいでも、下地の木材が傷んでいることもあります。
蟻道が見当たらなくても被害がないとは言い切れないため、気になる点があれば専門業者の点検を検討してください。
専門業者の床下点検・建物状況調査の使い方
シロアリの床下点検と建物状況調査の違い
シロアリの床下点検は、防除業者(シロアリの駆除・予防を行う業者)が床下に入り、蟻害(シロアリによる被害)や木材の傷みを調べるものです。被害があれば、そのまま駆除の見積もりにつながります。
建物状況調査(インスペクション)は、建築士などの専門家が、建物の劣化状況を調べるものです。
この調査は、中古住宅の売買の手続きにも組み込まれています。2018年4月1日施行の宅地建物取引業法の改正で、宅建業者は媒介契約(売却や購入の仲介を頼む契約)の際に、調査のあっせん(調査する業者を紹介すること)ができるかを書面で示すことになりました。
調査をした場合は、結果の概要を重要事項説明(契約前に物件の大切な情報を説明する手続き)で伝えます。
床下をどこまで見るかは調査ごとに異なるため、シロアリが気になる場合は防除業者の点検とあわせて考えます。
出典:国土交通省「建物状況調査(インスペクション)の活用等に関する宅地建物取引業法の改正」(2026年10月時点)
点検を依頼するタイミングと条件
点検は、購入の申し込み(買付:買いたい意思を書面で伝えること)を入れた後、売買契約を結ぶ前に行えると、結果を価格や契約条件の交渉に使えます。点検には売主の了解が必要なため、申し込みの段階で「床下点検をさせてほしい」と伝えておくと進めやすくなります。
点検費用の負担や、点検できない場合の扱いも、仲介会社を通して事前に決めておくと、後のもめごとを防ぎやすくなります。
見積もりを見るときの確認項目
- 工事の範囲(床下全体か、被害のある箇所だけか、建物の外周を含むか)
- 使う薬剤や工法の種類
- 傷んだ土台・柱の補修が含まれるか、別の工事になるか
- 施工後に再発したときの対応と、その期間・条件が書面に書かれているか
金額や内容は業者によって差があるため、複数社の見積もりを比べると判断しやすくなります。
シロアリ被害が見つかったとき:買う・交渉する・見送るの判断基準
被害の程度で分けて考える
被害が見つかっても、見送るとは限りません。被害の広がり方で、次の3つに分けて考えます。
| 被害の程度 | 主な状態 | 考え方 |
|---|---|---|
| 表面的・一部 | 床板や巾木(壁と床の境目の細い板)など一部の木材に被害がある | 駆除と部分補修の費用を見積もり、予算に入れて検討 |
| 構造材の一部 | 土台・柱の一部に被害がある | 補修範囲と費用を確かめ、価格交渉の材料にする |
| 構造材の広範囲 | 土台・柱の広い範囲に被害があり、腐朽(木材が菌で腐ること)も進んでいる | 補修費が大きくなりやすいため、見送りも含めて検討 |

駆除費と補修費を購入価格・利回りに織り込む
判断の軸は、物件価格+諸費用+リフォーム費+シロアリの駆除・補修費を合わせた総額で、見込める家賃から利回りが合うかどうかです。諸費用は、仲介手数料や登記費用など物件価格以外に購入時にかかる費用です。総額が合わないなら、合う価格まで交渉するか、見送るかを考えます。
補修費などのコストを入れた実質利回り(経費を差し引いて計算する利回り)の計算方法は、築古戸建の利回りの目安の記事で解説しています。
交渉では、点検の報告書や見積もりを根拠として示すと話が進めやすくなります。リフォーム全体の工事範囲と総額の出し方は、築古戸建のリフォーム費用相場の記事で解説しています。
見送りを考えたいサイン
- 土台・柱の広い範囲に被害があり、構造の補強が大がかりになりそう
- 雨漏りや水漏れによる腐朽も重なっている
- 床下に入れず、点検ができない
- 過去の被害や工事の履歴が分からない
- 出口(売却・賃貸)の条件が、補修費込みの総額で成り立たない
リフォームで初めて分かる被害に備える
リフォームで床や壁を開けると、点検を受けていても外からは分からなかった傷みが見つかる場合があります。リフォームの見積もりとは別に、想定外の補修に備える予備費を用意しておくと備えになります。
購入後のシロアリ予防:防除・点検・湿気対策
防除工事の種類
防除工事は、シロアリを駆除し、再び入り込まないよう予防する工事です。薬剤を処理する方法や毒餌を使う方法などがあり、どの方法が合うかは建物の構造や床下の状態で変わります。
工法を比べるときは、前述の「見積もりを見るときの確認項目」にそって確かめると整理しやすくなります。
予防の費用を年あたりに直して運営コストに入れる
防除工事や点検の費用は、何年かに一度まとめて出ていく支出です。年あたりの予防コスト(防除工事の費用÷再施工までの間隔(年))に直すと、収支に入れやすくなります。
薬剤の効き目が続く期間も費用も、業者・薬剤・建物で異なります。見積もりや工事後に受け取る書面で確かめた数字を当てはめ、毎年の修繕費の積立に含めておくと、出費の波をならせます。
オーナーができる湿気・環境対策
- 床下の換気口をふさがない(物を置かない)
- 水回りの水漏れを早めに見つけて直す
- 建物の周りの水はけや雨樋を、湿気のたまらない状態に保つ
入居中の連絡ルールを決めておく
入居中はオーナーが室内を見る機会が減ります。「羽アリを見た」「床が沈む」などの連絡をもらえるよう、入居時に連絡先を伝え、管理会社とも共有しておきましょう。
「無料点検」の訪問営業に注意する
国民生活センターは、「無料で点検する」と訪問し、不安をあおって工事の契約をさせる点検商法に注意を呼びかけています。
床下など自分で確かめにくい場所は判断が難しいため、その場で契約せず、管理会社や付き合いのある業者に相談すると落ち着いて判断できます。クーリング・オフ(一定期間内の契約解除)などができる場合もあります。
出典:国民生活センター「点検商法」に関する注意喚起(2018年3月公表、2026年10月時点で確認)
シロアリと契約不適合責任・保険の見方
契約不適合責任とシロアリ被害
契約不適合責任とは、引き渡された物件が契約の内容と合わないときに、売主が負う責任のことです。
民法第566条では、買主は不適合を知った時から1年以内に売主へ通知する必要があるとされています。通知しないと、補修の請求や代金の減額などを求められなくなります(売主が引き渡し時に知っていた場合などを除く)。
売主が誰かによって扱いが変わるため、表で整理します。
| 売主 | 責任の期間の考え方(2026年10月時点) |
|---|---|
| 宅建業者が自ら売主 | 宅地建物取引業法第40条により、買主が不適合を通知できる期間を、民法の定めより買主に不利にする特約はできません。ただし「引き渡しの日から2年以上」とする特約は認められています |
| 個人などが売主 | 民法の定めが基本ですが、特約(契約書に個別に加える取り決め)で期間や範囲を別に取り決めている場合があります |
出典:e-Gov法令検索「民法」第566条・「宅地建物取引業法」第40条(2026年10月時点)
施工業者の書面と保険で守られる範囲を確かめる
防除工事をした業者が出す書面には、再発時の対応の対象・期間・対象外になる条件が書かれています。前の所有者が受けた工事の書面がある場合は、買主に引き継げるかも確認しておきます。
国土交通省は、既存住宅売買瑕疵保険(中古住宅の売買後に欠陥が見つかった場合の補修費用などに備える保険)に加入するには、専門の建築士による検査に合格することが必要と説明しています。
シロアリ被害が対象になるかどうかは、保険法人の約款(保険の細かな契約条件)や検査の結果によります。加入を考える場合は各保険法人に確認し、火災保険などでのシロアリ被害の扱いも約款で確かめておくと、補修費の見込みが立てやすくなります。
出典:国土交通省「既存住宅売買瑕疵保険」(2026年10月時点)
契約書・重要事項説明で確認すること
- シロアリ被害や過去の駆除・防除工事についての記載
- 契約不適合責任の期間と、責任を負わない範囲(特約欄)
- 建物状況調査をしたかどうかと、その結果の概要
売る側の立場での告知や売り方は、雨漏り・シロアリの家は売却できる?の記事で解説しています。
築古戸建のシロアリ対策でよくある質問
- 築古戸建を買う前に、シロアリの点検は受けたほうがよいですか?
-
内見だけでは床下や壁の中の被害を見抜けないことがあるため、契約前に専門業者の床下点検を受けられるよう売主と調整しておくと備えになります。点検できない場合は、予備費を多めに見込むか価格で調整することを考えます。
- シロアリ被害がある物件は買わないほうがいいですか?
-
被害の程度によります。一部なら駆除・補修費を総額に入れて利回りが合うかで判断し、土台・柱の広い範囲に及ぶ場合は見送りも含めて検討しましょう。
- 購入後にシロアリが見つかったら、売主に請求できますか?
-
契約の内容や売主が誰かによって変わります。契約前に契約書の特約欄で責任の期間と範囲を確かめ、個別の判断は専門家にご相談ください。
まとめ:築古戸建のシロアリ対策は購入前の確認と予算化から

被害が見つかったら補修費を総額に入れて買う・交渉する・見送るを決め、予防コストは年あたりに直して運営費に入れます。費用を見積もれれば、シロアリ被害も投資判断に織り込みやすくなります。
建物の状態は建築士や防除業者に、契約・法律・税の扱いなど詳細は弁護士・税理士・司法書士等の専門家にご確認ください。
築古戸建の補修・リフォームと物件探しはファインプロフィットへ
この記事を書いた会社:株式会社ファインプロフィット(大阪府寝屋川市石津南町28-1/宅地建物取引業 大阪府知事(1)第64202号)。2023年3月21日に寝屋川市で開業し、大阪府・京都府・兵庫県・奈良県で築古戸建の買取・販売、リフォーム、賃貸仲介・賃貸管理を行っています。
当社は築古戸建の買取・リフォーム・賃貸管理を一貫して行っているため、補修やリフォーム、入居付け、賃貸管理までを同じ窓口でご相談いただけます。
当社は寝屋川市・枚方市・門真市・守口市など北河内のほか、東大阪市・八尾市・松原市などでも築古戸建の取り扱い実績があります。購入を検討している物件の補修範囲やリフォームの進め方もご相談ください。
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