相続した実家が借地の上に建っていて、地主にどう切り出せばよいか分からない。そんなお悩みはありませんか。この記事では、借地権付き戸建の売却前の確認点、4つの売り方、承諾料と税金、承諾が得られないときの対処を2026年10月時点の情報で整理します。結論から言うと、地主の承諾が得られれば売却を進められる場合があります。
結論:借地権付き戸建は売却できる場合がありますが、原則として地主(土地の所有者)の承諾が必要です。まず借地契約書と地主の意向を確認しましょう。
売り方は①地主に買い取ってもらう ②借地権ごと第三者に売る ③底地と一緒に売る ④買取業者に売る、の4つです。承諾料は一律の基準がなく個別に決まるため、早めに地主と話し合うことが大切です。
当社は寝屋川市を拠点に築古戸建の買取・販売・リフォーム・賃貸管理を行い、借地権付き戸建も取り扱っています。
借地権付き戸建とは?売却前に知っておきたい基本
借地権と底地の関係
借地権とは、建物を建てるために他人の土地を借りる権利です。借地権付き戸建では、建物は所有者のものですが、土地は地主のもので、地代(土地の賃料)を払って借りています。
地主から見た「借地権が付いた土地」を底地(そこち)といいます。借地権付き戸建を売るときは建物と一緒に借地権を売ることになり、土地そのものは売れない点が普通の戸建との違いです。
借地権の種類(旧法・普通・定期など)
借地権の種類で売却時の考え方が変わります。国土交通省「定期借地権の解説」(2026年10月時点)の内容に、旧法借地権の一般的な区分を加えて整理しました。
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 旧法借地権 | 現在の借地借家法の施行前に設定され、旧借地法が適用される場合がある借地権。旧法では、定期借地権のような特約は借地人に不利として無効とされる |
| 普通借地権 | 存続期間30年以上。法定更新(期間が満了しても契約が続く仕組み)があり、地主が更新を拒むには正当事由(正当な理由)が必要。建物買取請求権(地主に建物の買取を求める権利)あり |
| 一般定期借地権 | 存続期間50年以上。更新や建物買取請求をしない特約を書面で定め、期間満了で終了 |
| 建物譲渡特約付借地権 | 30年以上経過した時点で、建物を地主に譲渡する特約が付いた借地権 |
築年数の古い戸建では旧法借地権のケースも考えられるため、契約書の日付と内容を確認しましょう。定期借地権の場合は、残りの期間が売却のしやすさに影響します。
売却できる?結論は「地主の承諾があれば進められる」
借地上の建物を売ると、土地を借りる権利(賃借権)も買主に移ります。東京地方裁判所 民事第22部「借地非訟とは」(2026年10月時点)では、この場合は民法612条により土地所有者の承諾が必要とされています。承諾が得られないときの手続き(借地非訟)は後半で説明します。
借地権付き戸建の売却前に確認する3つ
売却全体の流れは下の図のとおりです。この章では最初の3ステップを説明します。

借地契約書で見る点
最初に借地契約書を用意します。見当たらない場合は、地代の領収書や地主とのやり取りの記録も手がかりになります。
- 借地権の種類(旧法か普通借地権か定期借地権か、契約した時期)
- 契約期間と、次の更新の時期
- 譲渡・転貸(又貸し)や増改築についての条項
- 地代の金額と支払い方法、滞納がないか
地主は誰か、どんな意向か
地主が個人か、法人や寺社などかによって、相談の窓口や進め方が異なる場合があります。国や自治体などが地主の場合は、手続きが別になる場合もあります。
寝屋川市など北河内の築古の長屋・戸建は、借地の上に建っている場合もあります。相続した実家がそうなら、土地の登記事項証明書(法務局で取得できる登記の記録)で所有者を確認しましょう。地主が代替わりしていることもあるため、地代の振込先も手がかりになります。
売却を決める前に、地主に「売却を考えている」と伝えて意向を聞いておくと、後の話が進めやすくなります。地主自身が建物を買い取りたい、底地を手放したいと考えている場合もあります。
建物の状態と名義の確認
雨漏り・シロアリ・傾き・残置物(家に残った家財)など、建物の状態を把握しておきます。売り方によっては、先に工事をしなくても相談できる場合があります。
建物の登記名義が亡くなった親のままなら、売却の前に相続登記(相続人へ名義を変える登記)を済ませる必要がある場合があります。詳細は司法書士にご確認ください。相続人が複数いるときは、誰が相続するかの話し合いも先に済ませておきましょう。
借地権付き戸建の売却方法4つ

方法1:地主に建物(借地権)を買い取ってもらう
地主が買主になれば土地と建物の持ち主が一つになるため、地主にとっても利点がある場合があります。譲渡の承諾をめぐる話し合いが不要になる点もメリットです。
ただし価格は地主との交渉で決まり、地主に買う意向や資金がなければ成立しません。当事者同士だと条件が曖昧になりやすいため、不動産会社や弁護士等の専門家に相談しながら進めましょう。
方法2:借地権ごと第三者に売る
仲介で一般の買主や投資家を探す方法です。地主の承諾を得たうえで売ることになり、承諾料(名義書換料)を求められる場合があります。
買主が住宅ローンを利用できるかは、金融機関や物件ごとに異なります。建物が古いと買主が限られる場合もあるため、時間に余裕を持って進めましょう。
方法3:地主と協力して底地と同時に売る
借地権と底地をまとめて売れば、買主は土地と建物を両方所有できるため、普通の戸建に近い形で買主を探せます。代金は、借地人と地主で取り決めた割合で分けます。
地主の合意が欠かせず、代金の分け方や売却時期の調整も必要です。地主も底地の処分を考えている場合に検討しやすい方法です。
方法4:買取業者に売る
買取とは、不動産会社が自ら買主になる売り方です(仲介との違いは不動産の買取と仲介の違い7つで解説)。買主を探す工程がないため、仲介より期間が短くなる場合があります。
承諾の取り方や承諾料の扱いは物件ごとに異なるため、査定の段階で確認しましょう。詳しくは後半で説明します。
借地権の価格は何で決まるか
借地権付き戸建の売れる額は、一般的に次のような点で変わる場合があります。
- 地代の額と、残りの契約期間
- 建物の状態
- 地主の承諾が得られているか
- 買主の使い方(住む・貸すなど)
実際の額は物件ごとに異なるため、個別の査定で確認しましょう(戸建物件の買取りページ)。
借地権付き戸建の売却にかかる承諾料・費用・税金
譲渡承諾料は個別に決まる
譲渡承諾料(名義書換料)とは、借地権を第三者に譲る際に、承諾の対価として地主に支払うお金です。地代や更新料とは別のお金です。
承諾料は、契約書の定めや地主との話し合いで個別に決まる場合が多いです。自分の場合は、次の順で確認しましょう。
- 借地契約書に承諾料の定めがあるかを見る
- 定めがなければ、地主と早めに協議する
- 借地非訟になった場合は、鑑定委員会が額について意見を述べる
仲介手数料・測量・解体などその他の費用
承諾料のほかに、売り方によって次のような費用がかかる場合があります。
| 費用 | 内容 | 仲介で売る場合 | 当社買取の場合 |
|---|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不動産会社への報酬 | 必要 | 0円 |
| 司法書士費用(売渡費用) | 売主側の登記手続きの費用 | 必要な場合あり | 0円 |
| 残置物の撤去費 | 家財を片付ける費用 | 片付けが必要な場合あり | そのままご相談可能 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代 | 契約内容により必要 | 契約内容により必要 |
建物の解体は借地の使い方や地主との取り決めに関わるため、自己判断で取り壊さず、先に地主や不動産会社に相談しましょう。
譲渡所得税の基本
売って利益が出た場合は、譲渡所得として税金がかかります。国税庁タックスアンサーNo.3202(2026年10月時点)では、譲渡所得=売却価額-取得費(買ったときの代金など)-譲渡費用(売るためにかかった費用)とされています。取得費が分からない場合などは、売却価額の5%を概算取得費(取得費の代わりに使える金額)にできます。
同No.3255では、譲渡費用の例として「借地権を売るときに地主の承諾を得るために支払った名義書換料」が挙げられています。修繕費や固定資産税などの維持管理費は含まれません。
税率は所有期間で分かれます。国税庁タックスアンサーNo.3208(長期)・No.3211(短期)の内容は次のとおりです。
| 区分 | 所有期間(売った年の1月1日時点) | 税率 |
|---|---|---|
| 長期譲渡所得 | 5年超 | 所得税15%・住民税5% |
| 短期譲渡所得 | 5年以下 | 所得税30%・住民税9% |
いずれも別途、復興特別所得税(基準所得税額=その年の所得税額の2.1%)がかかります。相続で取得した場合、所有期間は原則として亡くなった方の取得日から数えます。
自分が住んでいた家を売る場合は、居住用財産の3,000万円特別控除の対象に、家屋とともに売った借地権も含まれます(No.3302)。
相続した空き家の3,000万円特別控除(No.3306)が借地権付きの家に使えるかは、税務署または税理士にご確認ください。控除の要件は空き家3000万円特別控除の要件7つで解説しています。
出典:国税庁タックスアンサー(2026年10月時点)No.3202・No.3208・No.3211・No.3255・No.3302・No.3306。特例には要件があり、確定申告が必要です。詳細は税務署・税理士にご確認ください。
地主が承諾しない・借地権付き戸建が売れない場合の対処
まずは伝え方と順番を整える
地主が承諾をためらう理由は、誰が新しい借地人になるのか分からない不安であることもあります。売却の理由、買主の使い方(住む・貸すなど)、承諾料の考え方を整理して伝えると、話が進みやすくなる場合があります。
買主を決めてから承諾を求めるより、早い段階で相談するほうが関係を保ちやすいでしょう。地代の滞納があれば先に解消しておきます。
借地非訟(裁判所の許可)とは
借地非訟とは、借地人と地主の話し合いがまとまらないときに、裁判所が代わりに判断する手続きです。借地権の譲渡については、借地借家法19条1項の「土地賃借権譲渡の許可」を申し立てることができます。
- 申立書を裁判所に提出する
- 審問期日(裁判所で双方の言い分を聞く日)が開かれる
- 鑑定委員会(手続きの中で意見を述べる委員会)が、許可の可否や承諾料の額、建物と借地権の価格などについて意見を述べる
- 裁判所が決定する
地主には、裁判所が定めた期間内に、建物と賃借権を裁判所が定めた価格で自ら買い取る権利(介入権)があります。東京地方裁判所の解説(2026年10月時点)では、多くの事件は特段の事情がなければ概ね1年以内に終わるとされています。ただし、許可が出るかは個別の判断です。
手続きには時間と費用がかかり、地主との関係にも影響する場合があります。申し立てを考える場合は、弁護士・司法書士等の専門家にご相談ください。
築古で買主が見つからないとき
建物が古い借地権付き戸建は、建て替えや増改築に地主の承諾が必要な契約もあるため、一般の買主が見つかりにくい場合があります。仲介で反響がない場合は、買取業者や地主への売却も含めて比べてみましょう。築古戸建が売れにくい理由は築古戸建が売れない理由7つでも解説しています。
築古の借地権付き戸建は買取も選択肢
修繕せずに相談できる理由
当社は、買い取った築古戸建を解体せずにリフォームし、賃貸住宅として再生しています。そのため、雨漏り・シロアリ・傾き・残置物がある建物もご相談いただけます。
借地権付き戸建の査定では、主に次の点を確認します。
- 地主の承諾が得られるか
- 借地契約の内容(種類・期間・譲渡の条項)
- 建物の傷みの程度
- リフォームして賃貸住宅として再生できるか
契約内容や地主の意向によっては、ご希望に添えない場合もあります。
相談前に準備するもの
- 借地契約書(なければ地代の領収書や振込記録)
- 建物の登記事項証明書や固定資産税の納税通知書
- 地主の名前と連絡先
- 建物の写真、把握している不具合や残置物の状況
当社の対応エリアと注意点
当社は寝屋川市など北河内のほか、東大阪市・松原市などでも買取実績があります(買取実績ページ)。遠方にお住まいの方も、郵送や電話でお手続きいただけます。
買取価格や承諾にかかわる費用の負担は、契約内容・建物の状態・地主との条件によって変わります。個別の条件は査定時にご相談ください。
借地権付き戸建の売却でよくある質問
- 借地権付き戸建は地主の承諾なしで売れますか?
-
建物を売ると土地の賃借権も移るため、原則として地主の承諾が必要です。承諾が得られない場合は、裁判所に承諾に代わる許可を求める借地非訟という手続きがあります。
- 譲渡承諾料はいくらかかりますか?
-
一律の金額はなく、契約書の定めや地主との話し合いで個別に決まる場合が多いです。契約書の定め→地主との協議→不動産会社への査定依頼の順で確認しましょう。借地非訟では、鑑定委員会が承諾料の額について意見を述べます。
- 古くて住めない借地権付き戸建でも売れますか?
-
条件によっては売れる場合があります。買取業者なら修繕せずに相談できることがあります。地主との調整も含めて、早めに相談しましょう。
- 相続した借地権付きの実家は売れますか?
-
売却できる場合があります。建物の名義が亡くなった方のままなら、相続登記が必要な場合があります。契約書と地主の意向も確認しましょう。手続きや税金は司法書士・税理士にご確認ください。
まとめ:借地権付き戸建の売却は「契約書→地主→売り方」の順で
- まず借地契約書・建物の状態と名義を確認し、地主には早めに意向を聞きます。
- 売り方は地主への売却・第三者への売却・底地と同時売却・買取業者の4つです。
- 承諾料は個別に決まり、名義書換料は譲渡費用として扱われます。
この記事の法令・税制に関する内容は2026年10月時点のものです。詳細は税理士・司法書士・弁護士等の専門家にご確認ください。
借地権付き戸建の売却はファインプロフィットへ
大阪府・京都府・兵庫県・奈良県の借地権付き戸建、雨漏り・シロアリがある築古戸建もご相談ください。
- 当社買取なら仲介手数料0円・司法書士費用(売渡費用)0円
- 解体せずリフォームして賃貸再生するため、建物の状態を踏まえて査定
- 家財・遺品がそのままでもご相談可能

